2017年2月17日

トラステヴェレ-オルトの聖マリア教会 Santa Maria dell'Orto in Trastevere




マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』のイエズス会士のとった行動について、映画を観てひと月たったいまでも友だちと意見を交わすのが少しも不思議でないのは、ここがローマだからかも知れません。ローマにいると、あの時代が遠い過去のこととは思えない、綿々と息づくものがある。トレヴィの泉の近く、現在の大統領邸のすぐ横にあるイエズス会のために設立されたローマ学院(現在のグレゴリア大学)には、グレゴリウス教皇から布教を託される天正遣欧使節団員の伊東マンショが描かれた絵が展示してあります。グレゴリア大学に行けばだれでも絵を鑑賞することができるという、とてもありがたい環境です。


天正遣欧使節団の四人のメンバーのひとりに中浦ジュリアンというひとがいますが、あの映画のフェレイラとともに穴吊るしの刑に処されて殉教し、その374年後の2007年6月に福者の列に加えられました。一方のフェレイラは、ご存じの通り、棄教です。「わたしはローマを見たものである」という中浦ジュリアン神父の言葉はあまりにも有名。

今日は、その中浦ジュリアン神父の肖像画が、トラステヴェレのオルトの聖マリア教会に飾られているというので行って参りました。

オルトの聖マリア教会はテヴェレ川の、かつて、この川を利用して交易が行われていたころの船着き場にほど近いところにあります。そんな教会に、なぜ中浦ジュリアン神父の肖像があるのでしょうか?1582年、遠路はるばる日本からやってきた天正遣欧使節の一行はローマでもハードスケジュールでした。そこで見るに見かねた教皇が「ちょっと息抜きでもしたら?」とオスティアの海岸へ船を出してくださることに。出かける前にちょうど通りかかったのがこの教会、教会といえばお祈り、それじゃあということに。

オスティアに到着すると、みるみる天候が悪化、突風が吹き荒れ、もうだめかと思ったそのとき、出航前に立ち寄った教会のマリアさまを思い出し、みんなで必死にお祈りしたのです。すると、風は止み、波は静まり、セーフ。奇跡が起きたのです。このマリアさま、ほかにも奇跡を起こしたそうです・・。




そんなこんなで使節団とはご縁のある教会なのだそう。ちなみに使節団のなかで列福は中浦ジュリアン神父だけ。肖像画は三牧樺ず子画伯によるもので、長崎の大司教からオルトの聖マリア教会へ贈られたそうです。

この後は、教会の近辺を散策。近くにはサンタ・チェチリア教会があります。音楽の聖人であるこのひとの名前にちなんだ音楽院もローマにはあります。見るからにお金持ちの教会といった感じ。


トラステヴェレ地区には美味しいリストランテもたくさんありますが、とにかく歴史がいっぱいつまっていて文化的満腹感を味わえます!カーニバルのいろんなお菓子が並ぶカフェでお茶をしながら、延々と棄教か殉教か、語りあったのでした。













寒い冬はコットンを紡いで過ごします  Passatempo invernale : Filare il cotone   





昨年は山の友だちが庭で和棉を陽当たりの良い場所で栽培してくれたおかげで思いのほかたくさんに収穫できました。



さて、この綿の実からどうやって種を取り除くか。そこで友だちが思いついたのがパスタマシーンでした。イタリアの家庭なら一家に一台ありそうな小型のシンプルなもの、なんとこれが完璧に種を外してくれました。これで綿繰りの作業はクリア。







ペット用ブラシでカーディングし、 紡ぎやすい形にしてみました。カネロニみたいです。



ここからは毎日くるくると糸巻きです。暇をみつけてはくるくる。









こちらが巻きあがったコットン。

撚止めをしなければならないので、かせにします。








大きなお鍋にお湯を沸かし、重曹を入れて30分ほど煮沸します。これで糸の撚りがしっかりします。









巻きたての糸玉は真白だったのに、煮沸したら薄く赤みがかってしまったのは、きっと、綿に絡まって取り除き切れなかった細かい葉っぱの色がついてしまったのでしょう。ほんのりベージュです。


山の友だちが、今年はもう少し早めに種を撒こうと言ってくれているので、さっそくお届けしなければ。さて、この糸でなにを作ろうかな。ここまでの過程が楽し過ぎて、考えていませんでした・・・。