サンタ・マリア・カプア・ヴェテレ(旧カプア)はローマ時代のアッピア街道の最初の終着点(後代ベネヴェントを通ってブリンディシまで延長された)でローマからナポリへ南下するにも必ず通る要所。
闘技場の横にはグラディエーターの博物館もあり(小ぢんまりしているが)、広い公園は市民の憩いの場所のようだ。
ここから徒歩で10分ほどのところに考古学博物館とミトラ教の神殿もあり闘技場の共通券で入場が可能。
ミトラ神殿は紀元前2世紀ごろローマ時代のもので1922年建築作業中に偶然発見された。密儀宗教のため残された資料や情報が少ないが、ミトラ教はオリエントが発祥の地、カプアでは東方から来た剣闘士が伝え広まったのではないかと言われている。
7つの厳しいイニシエーションを経て入信が認められ、ミトラ(太陽神)が屠った牛の血を頭からかぶって力を授かるのだとか・・。
地下へと階段を下りて行くと細長い空間があり、正面奥にミトラ神が牛を屠るフレスコ画がある。色も鮮やかで空間は宇宙をイメージしたフレスコ画で飾られている。手前の両脇には聖餐の儀式のための横臥食堂が並んでいる。ガイドさんに「ミトラ神って聖ミカエルに似ていますよね」と尋ねてみた。キリスト教はミトラ教との共通点が多く布教のためにミトラから取り込んだ要素も多いとの返答。例えば、12月25日の冬至(太陽が成長期に入る)は実はミトラ神の生まれた日とされており、キリストの生誕となったのもこれに由来するのではないかと。
遺跡巡りとセットのご当地ランチ、今回はカプアから5kmほど内陸に入ったところにあるサン・タンジェロ・イン・フォルミスまで足を延ばした。山麓に発達した小さな町でベネディクト修道会のカテドラル(6世紀)がある。
内壁一面に描かれたブルーを基調としたフレスコ画の美しさに目を奪われる。前庭からの眺めは左手のソレントから右手のファレルノまで見渡せる高台になっており、異変があればすぐに察知できるストラテジックなロケーション、サラセンの海賊が攻めて来たらご本山のあるモンテ・カッシーノにすぐさま使者を送ったのではないかと思われ、さすがベネディクト修道会。
ランチをいただいたレストランはカテドラルのすぐ横、窓からの眺めも内装もお料理も申し分なかった。
アッピア街道が世界遺産に登録されたことで、この辺りに埋もれているローマ遺跡(まだまだたくさんある)が今後少しずつ整備されていくことを期待したい。帰路、街道沿いにあるカレスの遺跡に立ち寄ってみたけれど、悲しいかな、とても立ち入れる状態ではなかった。ここにも半円劇場やテルメなどが埋もれているのだが・・。
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