6月、州またぎの移動が可能になったところで都会脱出計画を遂行、学業のある息子たちをローマに残し、母と夫と3人で山の家へ移ることになった。夏の休暇はいつもここで過ごしているが、今年はコロナ禍でその存在のありあがたみを特に感じている。
標高600m、休火山のカルデラ内に発達した町は人口3千人ほど、ミネラル・ウォーターの源泉地でもあり、山一帯は栗の木で覆われている。毎年10月に催される収穫祭では「世界一大きなフライパン焼栗」がギネスで認定された。
この町から車で30分ほど山を下りたところには、硫黄の温泉地もある。ローマ時代から利用されているまさしく「テルマエ・ロマエ」、多くの施設が年間を通して湯治に利用されているが、屋外の温泉プールはぬるま湯ていど、硫黄が溶けて乳白色に濁り独特の臭いが漂う。はじめは、そのゆで卵のような臭いが気になっていたが、もうすっかり慣れてしまった。温泉地とはいっても、30年前もいまも変わらず、観光地らしい土産屋も飲食店もなく、日本人のわたしとしては温泉饅頭のひとつも欲しいところだが、殺風景な山あいには施設のみが点在する。
わたしたちも、歳をとるにつれて頻繁に来るようになった。やれ腰痛だの関節炎だの、医者の処方箋があれば格安に治癒を受けられる。
今年はぜひ母も連れて来たかった。日本を発つ前から高血圧で足がむくみ、冬は足が冷え切って眠れないほど。というわけで、週に2回、混雑を避けて午前中のみというペースで通うことに。7月になるとコロナ対策をしっかり取って営業が再開となった。とはいえ、まだ利用者はほとんどなくて貸し切り状態。なんという贅沢!
母は、プールに入るまで自分が泳げること、泳ぎが大好きなことすら忘れていた。恐る恐る水に足を入れ、手を広げて平泳ぎを試みる。すると、水を得た魚とはこのことか、すいすいと泳ぎ始めた。そして、「子どものころはよく急流で泳いだものだ」と得意満面の笑みを浮かべる。2ヶ月たったいま、プールを一周するまでにもなった!
足のむくみもすっかり取れて、真っ黒に日焼けした母、健康そのものでまるで別人のようだ。
「次はいつ行くの?」と目を輝かせる母。この暑さなら9月いっぱいは大丈夫そうだ。

素晴らしいバカンスを過ごされていますね!拝見して、泳ぐ魚のような御母様が浮かんで来るようでした。
返信削除健康管理第一で過ごしています。
削除涼しくなったので山歩きも始めようと思っています!