二日目は雲ひとつない青空が広がり、気温も上がりそうだったので朝のうちにシェーンブルン宮殿へ向かいました。移動は地下鉄です。空港で購入しておいたウィーン・カードは地下鉄やバス、トラムが乗り放題(エアポートCATは割引価格に)。さらに美術館・博物館、飲食店やショッピングでも割引があります。
シェーンブルンはカールスプラッツ広場からU4線一本で簡単に行けますが、地下鉄はよく機能していて、2/3分間隔という便利さなのが嬉しい。
さて、シェーンブルンの宮殿は、部屋の総数が1441室あってそのうちの45室が公開されています。それはそれは優美なロココ調の装飾で、モーツアルトが御前演奏をした「鏡の間」、漆の壁面の「中国の部屋」、「青い陶器の部屋」、「ミリオンの部屋」などなど、豪華絢爛そのものです。
見学していて気になったのは部屋の隅に置かれていた白い陶磁器のストーブです。撮影禁止だったので実物の写真はありませんが、左の写真にあるものくらいの大きさで、色は真白です。寸胴ではなくてやはりロココ調のフリフリクネクネな形。こういうストーブを使っているひと、いるんですね・・知らなかった・・そして、この写真のストーブを取扱っているのは、なんとローマのお店だった!またひとつ新たな発見です。
広大なシェーンブルンの庭は、市民も自由に利用できるみたいです。ジョギングするひとやベビーカーで散歩するお母さんなども見かけました。とにかく、花壇も手入れがゆき届いていて、庭木の剪定も(多少歪だったりもするけれど)こまめになされていました。
宮殿見学の後はいよいよお待ちかねのデメル菓子店。ウィーンに行くというとだれもがザッハ-・トルテを試すべきだと言うのですが、ザッハー・トルテは本家本元のザッハーだけではなくデメルにもあるので、ちょっと不思議だなとは思いつつも、「ザッハー・トルテ」という名前がチョコレート・ケーキの代名詞ということなのだろうと思っていました。
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デーメルのザッハー・トルテ |
ところが、デメルとザッハーとのあいだではこのケーキを巡ってひと悶着あったようです。
もとはといえばフランツ・ザッハーという料理人が生みの親なのですが、その三代目のときにホテル・ザッハーが財政難に陥り、そこに宮廷ご用達のデメル菓子店が「ザッハー・トルテの販売権と引換えに」資金援助をしたという経緯があったのです。その後、ザッハーが再び権利を取り戻そうと裁判に持ち込んだものの、結局、デメルも販売を許可されることに。たかがチョコレート・ケーキ、されどチョコレート・ケーキなのであります。
ちなみに、個人的にはデメルの方があっさりしていて好きです。杏のジャムが上に塗ってあるかあいだに挟んであるかの違いだそうですが。
午後は、クリムトの『接吻』が展示してあるベルヴェデーレ宮殿に行ってみました。が、朝のシェーンブルンが美し過ぎたのか、こちらはもひとつぱっとしなくて、結局『接吻』も別に観なくてもいいや、ということになってしまいました。暑さのせいかも知れません。
クリムトといえば『黄金のアデーレ』という映画がありました。ベルヴェデーレ宮殿に展示されていた(現在はNYにある)「オーストリアのモナリザ」と呼ばれる名画『アデーレ』にまつわる話です。とても素敵な映画でした。
さて、ウィーンといえばプラーターにある大観覧車、映画『第三の男』のラストシーンはあまりにも有名ですが、その音楽も忘れることはできません。
実物は思っていたほど大きくはなく、ゆっくりゆっくり動いていました。観覧車に乗りながらお茶をしたりシャンペンを傾けたりもできるようです。なんだか優雅な娯楽ですね。
今回ウィーンの旧市街で気づいたことは、BGM的な音楽がどこにもないということでした。街角でモーツアルトのような格好をしてコンサート・チケットを売るひとはよく見かけましたが、カフェなどでヴァイオリンを奏でるひとはまったくいなかった。わたしの妄想でしょうが、ウィーンにはそういうひとがたくさんいると思っていたのです。
出会ったストリート・ミュージシャンはこのひとのみ。ヴァイオリンの腕前は抜群でした。さすが、ウィーン!
一日じゅう歩き回って夕方にはくたびれ果て、地元のひとたちが行きそうな近くの公園で一杯!オーストリアのゲッサービール、とても美味しい!