サン・ポール・ド・ヴァンスはニースからバスで北西に一時間ほど行った内陸の丘の上にあります。バスはプロムナード・デ・ザングレ通る400番、バス停が多いので時間がかかります。立派な城壁に囲まれた村は歴史を感じさせます。遡ること古代ローマ時代。20世紀になって芸術家たちがここに移り住むようになり、村のレストラン、コロンブ・ドールでの食事代に絵を置いていったという話はあまりにも有名。マチスやシャガール、ピカソなど、その価値は計り知れず、レストランは美術館のようになってしまったのだそう。30年前に訪れたときは店の前を通ることができて、鉄格子越しに中をのぞいたのを覚えています。
城壁の中は、細部に心配りがゆきとどいていて、村がまるでひとつのアートのようでした。ゆったりと静かな時間が流れ、遠くには海も見える。芸術家には絶好の場所です。
サン・ポールの墓地にはシャガールのお墓があります。 二番目の奥さんヴァヴァも一緒に眠っています。花ではなく石が置かれているのはユダヤ人のお墓だからだそう。シャガールはサン・ポール・ド・ヴァンスに20年も住んでいたそうです。
立ち寄ったお店では手作りのアクセサリーとブラウスをお土産に。さっそく着替えて南仏の気分です。南アフリカ出身の奥さんとついお喋りが弾み、なんでも以前はカプリにお店を出していたのだとか。地中海をベースにこういうお店を展開って、素敵!
村から1キロくらい上ったところにフォンダシオン・マーグという私財団の美術館があります。30年前にサン・ポール・ド・ヴァンスに来たのは、この美術館で開かれた展示会のヴェルニサージュに招待されたからでした。といっても、わたしではなく、マダム・ニューマンというお友だち(年の半分をニース、半分をニューヨークでという優雅な老後をお過ごしだった)にお誘いいただいて。あのとき、とても印象的だったのは、庭にあったジャコメッティやミロの迷路。雨曝しでもいいのかしらんと心配したものでした。
芸術とのゆったりした時間を満喫し、お腹がが空いたところで村はずれのビストロへ。地元のひとびとに愛されるお店といった感じで、ボリューム満点、ポテトと鴨のオーブン焼きとタラと野菜のアイオリ・ソースは絶品でした。
夜は旧市街へ。朝市場が立っていたところは夜にはレストランのテラス席に変わります。その数ざっと数十軒、魚介のお店がほとんどです。夜のニースは町中が台所に変貌します。旧市街はじめ町の小さな路地にもレストランがたくさん。
こんなに新鮮な魚介がこの値段で!と驚くほどのコスパでした。
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